もりのわ開園に寄せて

入園おめでとうございます。
そしてこうして、「もりのわ」の開園に集っていただいたご縁に感謝致します。

3.11以降、世界は変わった、たしかにそうかもしれません。
木々や土に触れ親しむことにも、とまどいを覚える今です。
でも、自然は悠久の時を今も変わらず刻みつづけ、
生きものたちは命を紡いでいるのであって、変わってはいません。
変わってしまったのは、
人間であり、問題は一人一人の心のなかにあるのかもしれません。

自然と共に在る。
本来、人が営みとしてもっていた自然とのつながりをとりもどす。
そのなかに人としての在り方のかんじんがあると信じて、
「もりのわ」をはじめます。


しずくぐみ、このはぐみ、つちぐみ　という名前にしたのには意味があります。

水はいのちのみなもと。
しずくは木々を潤し、育てるのです。
そうして木々は葉をひろげ、大きくなります。
やがて葉を大地にかえし、土となります。

土は水によって潤い、木の葉を糧にし、やわらかな土となるのです。
そのやわらかな土に、自分色の種を蒔く。
土は、すべてのいのちの礎になるものです。いのちは土から生まれます。
やわらかな土を心に持つ人に育ってほしい。

水、木、土それぞれがつながり、かけがえのないように、
自分を大切にし、同じように他（他者）を大切に思うことができる、
「もりのわ」は、そんな場でありたいと願っています。


皆様にひとつお願いがあります。
「もりのわ」はコミュニティであり、色んな人が集う場です。
価値観なども含めて、色んな考え、思いをそれぞれの人がもっています。
それをみんながみんなで受け入れようとする心持ちをもって下さい。


「和」になる心持ちは、受け入れることだと私は思います。
例えば、否定をしないことは、時に困難でもあります。
否定をしてしまうことの方が、とてもカンタンだからです。

ほんとうにわかりあうためには、時間がかかるものです。
私たちは、そんな意識を持ち寄りながら、まわりを視る目をお互いに育み、
大人もいっしょに、「やわらかな土を持つ人」となれるよう、
頑張りすぎずに歩んでいきましょう。
そしてその先には、心の豊かさがあると信じましょう。


みなさんの大切な、たからものの子どもたちを
「もりのわ」も一緒に育てさせて下さい。
よろしくお願い致します。


2012年4月4日
森のようちえん葉山「もりのわ」