寛容化するコミュニティ 〜もりのわだよりから〜

月にいちど発行している「もりのわだより」の
11月号（31号）より、ほぼ原文まま（一部語尾変更してます）に、ご紹介します。

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前号に書いた水俣病大学(*1)で最も印象的だったのが、
作家・映画監督の森達也さん（著書「いのちの食べかた」等おすすめ）が
話してくれた、"寛容化"ということです。
北欧のノルウェーは寛容化へシフトチェンジした国です。
死刑制度を廃し、厳罰化から寛容化へ、国民の意識改革をし、罪を犯した者に対し、
なぜそう至ったかということに、愛情・教育・貧困対策…で応える。
後、治安は良くなったとのことですが、近年大きな事件も起きた。（*2)(*3)
そのとき、被害者の親の元に訪れた犯人の母親に、
「あなたがいちばんつらいわね」と抱き合い、
事件についてインタビューされた少女が、
「ひとりの男がこれほどの憎しみをみせたのなら
私たちはどれほどに人を愛せるか示しましょう」
そう応える国民性。...おどろきました。
世界規模で（もちろん日本も）、厳罰化がすすんでいる世の中で、
寛容化というものが、大きなキーワードのように思え、
日本もそうなったらいいのに、でもどうやって？　私は森さんに質問しました。
社会保障制度が充実している北欧では、暮らしの安定がそもそもあるので、
今の日本では同じようにはいかないけれども、
日本人は、また"集団化"しやすいという国民性もある。
今の社会ではそれがマイナスイメージの部分が多いが、
逆にいえば、良い意味でのこともまた集団化しやすい、してゆけばよい、とのこと。なるほど！
人を受け入れること、批判で終わらせないこと、
理解し合おうとすること、個を大切にすること…
私は"寛容化"をこのように咀嚼しました。
そうすると、もりのわの方向性は寛容化のなかに在るのではないかと思えます。
より良い社会になるために。
子どもからはじまるコミュニティ。大人が糺す（ただす）集団に。
もりのわは寛容化するコミュニティで在りたいと思います。
「森のようちえん」は北欧発祥です。なんだかわかる、つながる気がします。
そして森、自然の営みは、まさに寛容性、多様性を備えています。
「調和する」世界観をもっています。
だからこそ、人にやすらぎをもたらしてくれるのかもしれません。
そんな森に支えられ、森のなかで育つ子どもたち、子どもたちの"わ"は、
大人の私たちにとって、これからの社会へのメッセージであり、希望なのです。
子どもの世界...上記に書いたようなことを、
いともしぜんに、垣間見ることがあります。
そんな場面に出逢うとき、子どもってすごい！
そして「人っていいもんだな♪」としみじみ思えたりもするのです。



(*1)「MINAMATAを学ぶことは、現代の社会と人間を考えること」
　　　水俣フォーラムが開講した水俣病大学を今夏、聴講しました。

(*2)ノルウェー連続テロ事件(2011）
(*3)この事件が起きたことで、このまま寛容化であるべきかの
　　 論争が起きたりもしたそうです。首相が、声明をだしてもいます。


（ゆきんこ記）