雨の森

なんとも気持ちのよい雨でした

雨の粒つぶが音をたてて落ちてくる

梅雨に入り

カッパを着て

畑の出たばかりの大豆の芽に気づき

里芋の葉の上で踊るしずくをよろこび

森へ

今日集った子どもたちなら

この雨でもたのしめる

そう感じることができていた

こんなふうに

雨の中のお散歩ができるのは久しぶり

ああ、みんな大きくなった

大きなカタツムリに感嘆し

長い間ながめ

森に入れば

テイカカズラの花の甘い香りが靄の中に漂う

白い蛾が

葉っぱの裏で雨宿り

小さな虫たちが

雨をしのぎ生き

川はいつもとは違う音を立てて流れる

カニが半ば溺れるようにして

川の中を流されていったのを見た

雨の日のお散歩は慎重に

そんな心配りも

日頃の積み重ね

なんと上手に楽しそうに歩くことか

いつもの川原について

その川幅の広がりを見る

この子たちに

今日の日のこんな景色をみせることができて

ほんとうによかったと思う

雨の日には雨の日のあそびがあって
クスノキの赤い葉っぱを川に浮かべてその流れの早さによろこび
誰も雨につらさを語らないたのしめる心持ちが育まれていること
お散歩から戻り濡れた服を着替えお弁当を食べる
リュックについている一人一人のバッジの木の質問に
「あのクスノキの木で作ったよ」と応えにっこりとしている子らをみて
なんだかとても感動した

帰る時

「クモの巣がきれい！！」と

大きな声でよろこぶ

子どもの声が聞こえた

なんとも気持ちのよい一日だった

雨の日の森の緑は

なんともいえず美しかった